2014年12月28日

(カリフォルニアの)ユーカリのはなし その1


ユーカリは、私にはとても気になる木です。景色の中でひときわ抜きんでて背が高く、空と地面の接点に一目でユーカリとわかるシルエットを描いています。

実際のユーカリの姿をご覧ください。

下のGoogle Earth の画像の左上 “View on Google Maps” をクリックすると、Google Earth がひらき、そこからストリート ビューが見られます。北の方を向くと、背の高いユーカリが縁どるスカイラインがご覧いただけます。
 



ここに見えるユーカリは、私には、Blue Gumでも Red Gum でもないことは分かりますが、何なのか分かりません。

ユーカリのことはこれまで何度も話題にしてきましたが、残念ながらなかなか見分けられる種類が増えてきません。もう、知っている人に教えてもらわなくては無理かなとも思ったりします。

なので、ひと区切りとして、ここらで分かったのだけでもエントリーにしようと思いますが、その前にユーカリについて本やネットを通じて知ったことを書いてみたいと思います。

随分ユーカリのことを考えて過ごしてきたので、知ったかぶりの薀蓄披露をしたいです。どうかお付き合いください。



手短にいうと、こういうこと

ここカリフォルニアには、1850年代以前には一本のユーカリもなかったそうですが、19世紀終盤から数十年の間に大量に植えられたのだそうです。その経緯には開拓時代の人の欲や夢、そして大いなる失望がこもっています。

そんな人の思惑とは関係なく当のユーカリはスクスクと育ち栄え、いつの間にか カリフォルニアの風景の主要構成要素になったのでした。

今やこの木は、一方で人の心に深い愛着の気持ちを引き起こし、他方でカリフォルニア自生種を脅かす侵略者として憎まれることになっているのだそうです。



では、もうすこし詳しい説明を試みます。


ゴールドラッシュのあと、カリフォルニアは深刻な木材不足に見舞われた。

1848年にサンフランシスコの北西、シエラネバタ山脈のふもとで金が発見され、カリフォルニアのゴールドラッシュが始まりました。詳しくはウィキペディアでカリフォルニア・ゴールドラッシュを参照してくいただくと詳しい説明があります。

現代カリフォルニアのスタート地点といえる出来事であり、世界中から一攫千金を狙う人々が流入し爆発的な人口増加が起こりました。それに伴って、思い付く限りあらゆる物資の不足が起こりましたが、木材もその中の一つでした。建物や家具の材料、燃料、土地の境界の柵、鉄道の枕木(大陸横断鉄道の西側からの着工1863年)、電信柱等々にどうしても必要でした。


都市として発展し始めたサンフランシスコ一帯では近郊に小規模なレッドウッド(日本語でセコイア)の森があったのですが、ものすごい勢いで伐採し尽くされ、その後は、もっと北から船によって運ばれる木材に頼ることになり、値段が高騰したそうです。

ちなみに、この時代のカリフォルニアはまだ石油が見つかっておらず、石炭は近くでは採れず、エネルギー源は主に木に頼る時代でした。




Treeless の風景を変えたいという深い願望があった。

カリフォルニアの土地は、山岳部の針葉樹や海岸の霧が深く覆うところのレッドウッドを除いて、ほとんどがTreeless と表現される草地と灌木林からなっています。そういう土地の樹木といえば、せいぜいオークがまばらに点在する程度という景観が広がっていたのだそうです。

川辺には Riparian と呼ばれる、水辺に育つ樹木があったはずですが、全体から見ればごく僅かです。

人が自然を破壊したからそうなったのではなく、不思議ですが、元々そういうものなのです。

とにかく、ゴールドラッシュ以後、そんなTreeless の地に移り住んできた多くの人たちにとって、この景色がどうにも受け入れ難く感じられたのでした。

アメリカの東海岸やヨーロッパの風景をスタンダードにしている人たちにとって、木が無いというのは間違ったことに見えたらしく、なんとか樹木のある景色を作るべく、色んな種類の木を試みに植えたらしいです。

そして、最終的に選ばれたのがユーカリ、その中でも Blue Gum(ブルー ガム、Eucalyptus globulus)という種類でした。初期の段階ではほぼすべてが この ブルーガムだったようです。




自分が見たことじゃないことを書くのは、超大変。ここらで、一休み。

つづく...
ユーカリのはなし その2


2014年11月22日

愛らしいカリフォルニアの自生低木、トヨン(Toyon)。



赤い実が冬を彩るカリフォルニアの自生種、トヨンです。
2014年11月15日 El Dorado Park, Nature Center, Long Beach CA



Rosaceae バラ科、Heteromeles 属
学名: Heteromeles arbutifolia (ヘテロメレス アルブティフォリア)
英語名: Toyon, Christmas Berry, California Holly
日本語名: トヨン(英語名のカタカナ表記)




トヨンは、カリフォルニアに自生する植物の中で唯一(!)先住民がつけた名を受け継いでいます。
今のサンフランシスコの辺りに住んでいたOholone人の言葉なのだそうです。

私は日本人なので、昔のことが伝わることを何となく当たり前と思っていましたが、カリフォルニアでは、この土地の恵みを知り尽くした人々の知識や知恵が引き継がれることなく今の文明があるのだと思うと、本当に残念な気持ちになります。



赤い実のなる木

今の季節、我が行きつけのエルドラド パーク、 ネイチャーセンターを訪れると、赤い実をたわわにつけた木が多く見られます。

昨年末、ネイチャーセンターの記事で、

「冬は赤い実のなる木が何種類もあります。名前が知りたい。
と、書きましたが、ほぼ一年たった今、それらは主にトヨン と ブラジリアン ペッパー ツリー であることが分かるようになりました。 

下の二枚の写真は、昨年の12月に、何かわからないまま写してます。


今見れば、トヨン。
2013年12月22日 El Dorado Park, Nature Center, Long Beach CA


こちらは、ブラジリアン ペッパー ツリー。
2013年12月22日 El Dorado Park, Nature Center, Long Beach CA



見慣れると両者の違いははっきりしています。

ブラジリアン ペッパー ツリーの果実は、硬い種とそれを包む乾いた薄皮からなります。トヨンの実は、もうちょっと大きいし、おさえると果肉がつぶれます。

(また何より、ブラジリアン ペッパー ツリーは大木になります。葉は、小さな小葉からなる羽状複葉です。この木のことはまた別の機会にご紹介します。)


下の写真は、7月の、まだ実が赤くなっていないトヨン。細長い楕円形の葉は硬く、周りに細かいギザギザがあります。
2014年9月7日 El Dorado Park, Nature Center, Long Beach CA



単葉です(ウィキペディアで「」と調べると丁寧な説明があります。ややこしいですが、すごくためになりますよ。)。
2014年9月7日 El Dorado Park, Nature Center, Long Beach CA





花は、なかなか美しいと思うのですが、写真がうまく撮れなかったので残念ながらお見せできません。Toyon で画像検索していただくときれいな写真がたくさん見られます。



全体の姿

あまり大きくならない低木です。
下の写真は、小道を挟んで左と右にトヨンが広がって生えています。一本の木なのか何本かか絡まっているのか、よくわかりません。


2014年11月15日 El Dorado Park, Nature Center, Long Beach CA





根元のところはこうなっていました。一本の木と言っていいのかな。かなり年季が入っています。
2014年11月15日 El Dorado Park, Nature Center, Long Beach CA





もっと若い木。こういう風に根元から別れるのでしょう。7月なので実は白いです。
2014年9月7日 El Dorado Park, Nature Center, Long Beach CA





さらに、もっと若い木。

2014年9月13日 El Dorado Park, Nature Center, Long Beach CA





トヨンの逸話

Toyon というと、ほぼ必ず付いてくる説明に、映画の都 ハリウッド(Hollywood)の名前の由来があります。

その昔、今のハリウッドの丘の斜面には、このトヨンが豊富に生えていたそうです。それを見たヨーロッパ系の移住者は、鋸歯のある葉や赤い実が似ているHollyセイヨウヒイラギ)だと思ったのか、ただ似ていると思ったのか、とにかくその土地を Hollywood と名付けたのだそうです。



ここまで読んで下さったカリフォルニアにお住まいの方、トヨンの赤い実をクリスマスの飾りにしようと思い付かれまましたか?

でも、公共の場に生えているトヨンの枝を折ることは法律で禁じられていますから気を付けてください。同じことを考える人が多すぎたせいで、1920年代にできた法律なのだそうです。



以上、トヨンでした。



2014年11月16日

この土地を愛するためにブログを書く。



ちょっと前のエントリーで、何のためにブログを書くのか考えなくてはいけないと書きました。自分の文章を一部抜粋します。
好奇心をドライブに快調にエントリーを重ねているうちに、吸収する情報が加速的に増えてきて、無邪気にに書けなくなってしまいました。例えば、コースト ライブ オークのところでチラッと書きましたが、この自生種に首を突っ込むと、カリフォルニアの気候、地形、歴史などなどのことが絡まって押し寄せてきます。何もかもをブログに書く必要はないのですが、では何を書くかと問うと、自分はブログで何をしたいのかを考えなくてはなりません。



このひと月半ほど、仕事時間が長くて、落ち着いて物事を考える余裕がない日が続いていましたが、ついに直訴して減らしてもらいました。収入は減るけれど、おかげで少し気持ちが落ち着きました。

そんなわけで、今日はゆっくりできたので、折に触れてとりとめもなく考えていたことを、ちゃんと座って紙とペンを持って考えました。



そもそも、ブログを始めるにあたってタイトルを何にするか考えていたとき、
 「アメリカにずっと住む」 という言葉に胸がドキドキしたことを思い出しました。月並みに言うと何かが心の琴線に触れた。無理に説明を試みると、自分の心の核心部分にある、まだ自分で捉えていない霧のようなものが形をとり始めた。とにかく、これをタイトルとする当たって後に引けないような気持ちを抱いたのは確かです。まあ、 「...つもり」 をくっつけたのは弱気のせいなのですが。



それで、とにかく色々と投稿を連ねてゆくうちに、街路樹ウォッチング(後に樹木ウォッチングに拡大)を始めることになり、結構心を奪われるほど楽しくなりました。いろいろ迷うこともその都度エントリーに吐露し、悩むのも楽しいと思ってきました。そして、今回の冒頭の迷いです。


これまで、樹木のことをいろいろ知るようになったことの中で何に一番興味を引かれたかというと、それぞれの樹木が今のようになった経緯だと思います。対象となる樹木が、「都会の森」つまりUrban Forest の木なので人が必ずかかわっているのは当然なのですが、知れば知るほど短い時間に起こった嵐のような人の営みの拡大が、樹木にも影響が及んでいたことに今更ながら驚くのです。変わったのは、もちろん樹木だけではありませんが、樹木を通じて知るというのは自分に合っているように思います。

歴史という時間的な変遷だけではなく、気候や地理ももっと知りたいと思います。もちろん、アメリカやカリフォルニアの様々なことについて、本やネットでいくらでも詳しく知ることができますが、私がしたいのは自分の言葉で理解することなのです。

つまり、観光案内のようなカリフォルニアの紹介ではなく、自分の心を通過して生じた理解を伴ったエントリーを書きたいということなのです。大層なことは書けないでしょう。それでも、自分が掴んだ小さいものを、メモ紙をピンでボードに止めるように続けてゆけば、それらが集まってまとまった理解が生じるかもしれません。どのように進むか分かりませんが。


もう、自分には郷土愛のような気持ちがあると思います。そうだとすると、冒頭の迷いに対する答えとして、もっとはっきりした言葉を見つけました。

この土地のことを知ることで、この土地への愛着を深めたいです。この土地を愛するために、ブログを書きます。


以上、あくまで、今のところ、の気持ちですけど。




2014年11月12日

わりとよく見かけるマルベリー(Mulberry)の木、日本語名は桑。



街路樹になっているのは見たことないけれど、ちょっと広いスペースや、住宅の前庭によく見かけます。そして何より、小学校の校庭には必ずある木です
(断言していいのか?)

下の写真は、近くの小学校の木です。もう11月なので、黄色くなった葉が落ち始めていました。
November 9, 2014   Holder Elementary School, Buena Park, CA


小学校では授業で蚕(カイコ)を育てるので、餌用として校庭に何本か植えてあるのでしょう。実際、我が娘たちもやってましたし、夏休みが始まるときには余った蚕をもらってきたので、学校に桑の葉を採りに行きました、そういえば。



Moraceae (クワ科)、Morus(クワ属)の落葉樹。

学名: Morus alba(モルス アルバ)

英語名: White Mulberry, Silkworm Mulberry, Russian Mulberry, Moral Blanco
日本語名: マグワ
原産地: 中国

お馴染みUFEIで私の写真よりきれいなマルベリーが見られます。

いろいろ園芸品種があるらしいのと、イマイチ確信がないので、クワ属の総称として、クワ、又はマルベリーと呼ぶことにします。

この種類の木がアメリカに移植されたのは、国ができるより前の植民地時代だそうで、やはり絹糸をとる養蚕のためだったそうですが、その後すっかり帰化して 、今やアメリカのほぼ全土で、 雑草ならぬ雑木状態になっているらしいです。


雌雄異株で、オスの木とメスの木が別々にあります。植栽としてはオスの方が扱いやすいのか、植えてあるのは大抵オスの木です。メスの木にはキイチゴのような美味しい実がなりますが、実が落ちてあたりがグチュグチュになると困るのでしょう。


以前住んでいたところに、メスのマルベリーのある家があり、広がった枝が塀の外にはみ出していました。そして実のなる季節には近くの子供たちが、外から手の届く実を取って食べていました。
確かに果実が歩道に落ちてちょっと汚かったですが、それよりも、こんな体験ができることは子供時代を豊かにしてくれる有難いものだと思います。

もう一つマルベリーの実の思い出。あるとき簡単な集まりに、マルベリーの実とスイカズラの花をお盆にのせて持ってきた人があって、大いに感銘を受けたことがあります(スイカズラの花は、うす甘いほんのちょっとの蜜を吸うのです)。
どちらも店で買えるようなものではなく、すぐに痛んでしまう儚いものです。なんとも、妖精の食べ物をこっそり横取りしたような、とでもいうような心地がしたことを今でも覚えています。



*****




昔の話はともかく、私が樹木ウォッチャーになったばかりの頃、まだ何を見ても新鮮だった頃のクワのことをちょっと紹介させてください。


下の写真は、我がサイプレス市の市庁舎の庭のクワの木です。
今年の3月に撮った写真ですが、このときには、この木が何なのか全く分かりませんでした。
March 23, 2014  Cypress City Hall, Cypress CA




若い葉と花(
相変わらず、ピンボケですが)。
今ならオスの花だと分かりますが、そんなことは思いもよりませんでした。
March 23, 2014  Cypress City Hall, Cypress CA



花があるならいずれ実がなるはずだから、そしたら何の木か分かるだろうと考え、時が経つのを待つことにしました。


そして、下の写真が6月です。
わが市では、夏の宵にこの木の下で “コンサート オン グリーン” という ささやかなコンサートが催されます。近所の人が場所取りに椅子だけ置いておくのが恒例で、私が樹木ウォッチングに行ったときには、写真のように、椅子ばっかりが日の暮れるのを待っていました。
June 28, 2014  Cypress City Hall, Cypress CA



木をしげしげと観察しました。葉が青々と豊かに繁っていました。付いているはずの実を探しましたが、何もありません。
June 28, 2014  Cypress City Hall, Cypress CA




June 28, 2014  Cypress City Hall, Cypress CA



ほんとに、分からなくなってしまいました。Tree Keyというのを使って検索したりもしたのですが、分からなかったですね。



それが、あるとき、ふと住宅の前庭に植えてある木が目に入って、昔の小学校の校庭のクワの木の記憶が一気によみがえって来ました。
“なーんだ、クワか。” と、なぜか興奮もなく落着したのでした。


多分、市庁舎の木は、学校の木とは違う形に剪定してあって印象が違ったのでしょう。下の方の枝がきれいに切り払ってあって、樹冠が高いところにありますから。




ついでですが、下の写真は市庁舎の向かいにある高校の庭のマルベリーです。3月のこの時はまだ何なのか分からないまま、“この辺りにはこの木が多いのね” と思いながら写真を撮っています。
March 23, 2014  Oxford Academy High School, Cypress, CA





今見れば明らかな雄花が、沢山地面に落ちていました。
March 23, 2014  Oxford Academy High School, Cypress, CA



ちなみに、こういう長い房状の花を catkin(キャットキン)といいます。クワに限らず色んな種類に catkin 状の花があるようです。

高校でも、蚕の飼育をするのか、あるいは見栄えのいい樹木として植えてあるのか、どうなのでしょうね。



以上、どちらかというと思い出語りのマルベリーのエントリーでした。


2014年10月10日

オークランドとバークレーで、カリフォルニアの自生樹木ーレッドウッド、コースト ライブ オークなどに親しむ(自分のためのメモ)。



先月末は、次女を送ってデービスに行ってきましたが、
その後サンフランシスコ近郊にあるオークランド市とバークレー市で、カリフォルニア自生種の樹木ウォッチングをしてきました。

長女が一緒だったので写真は撮っていません(写真を撮るのって案外時間かかるので、同行者がいると撮りにくいのです)。なので、このエントリーは次の機会のための自分用のメモ程度ということで。

(もしも、画像をご覧になりたいのでしたら、英語名あるいは学名で画像検索していただくと写真がずらっとでてきます。)

訪れたのは、オークランド市の東にあるワキン ミラー パーク(Joaquin MIller Park)と、カリフォルニア大学バークレー校内にある植物園(UC Berkeley Botanical Garden)です。

1.Joaquin Miller Park

 オークランド市の東に位置する丘にあります。開けた場所からはサンフランシスコ湾が見渡せました。


レッドウッド (Redwood, Sequoia sempervirens)

道路からハイキングコースに入ってゆくと、レッドウッドが自生する林に出合います。真っ直ぐな幹の感じから、素人目には杉の大木のように見えますが、これがあの有名なレッドウッド、日本語ではセコイア。世界一の樹高を記録する種類です。お目にかかれて光栄です。

ここのレッドウッドの森は、19世紀半ばのゴールドラッシュに始まる爆発的な都市の拡大による木材需要で、広範囲に伐採されてしまったのだそうです。今生えているのは2~3代目と説明に書いてありました。確かにこの木が何かを囲むように輪になって生えている光景が随所にありました。たぶん、昔に伐採された大木の切り株から枝が生じ、それがまた結構な大木に育ったのでしょう。成長が非常に速い木なのだそうです。



コースト ライブ オーク (Coast Live Oak, Quercus agrifolia

コースト ライブ オークもまとまって生えているところが何ヶ所もありました。以前、我が家の近くのこの木のことを記事にしたのですが、それとはまるで迫力が違いました。

ねじくれた枝が重なり合い、そこだけが薄暗く、ひんやりと冷気を放っていて、今にも魔物か何かが現れそうでした。こればかりは写真が無いのが残念です。

前の記事で、よく似た別の種類のオークがあって間違いやすいと書いたのですが、成熟したこの木の風に当たったらもう間違わないよね、という感じです。



新しい知り合い、マドロン(Madrone, Albutus mensiesii

翌日に行った植物園で名前を確認しました。この木も沢山生えていました。

ガサガサした灰色の樹皮が剥がれて下から目立つ赤い肌が露出しており、その赤い肌も所々剥けて下から緑色の肌がのぞいていました。

はい、街路樹になっているブリズベン ボックス のところで同じことを書きました。マドロンの方が赤も緑もあざやかでしたが、こんなことがあるのね。まるで違う種類の木なのですが、何となく葉っぱの感じも似ていたような気がします。


2.UC Berkeley Botanical Garden

木に名札の付いているところに行きたいという願いがかないました。ここで何に一番感心したかというと、同じ種類の植物が何ヶ所にもあると、名札がまた登場するのです。もちろん毎回とか全部というのではありませんが、超親切で徹底していました。

カリフォルニアの自生種を主に見ました。ざっと紹介します。

まず、魔物が出そうなコーストライブオークがここにもあります。ほんと、この木好きです。

その、コーストライブオークに混じってカリフォルニア ベイ (California Bay, Umbellularia californica)の大木がありました。地面近くから太い枝が別れ出た姿ですが、コーストライブオークとは全然ちがいます。成熟した大木には特徴のある形と雰囲気があるのだと改めて思いました(写真が無いですけど...)。クスノキと同じ科だそうで、葉に強い香りがありました。

名前だけは聞いたことのあるマンザニタ (Manzanita, Arctostaphylos spp.)。マンザニタ は総称です。覚える気力を削がれるほどにたくさんの種類がありました。いずれも低木で、硬質の暗赤色の幹が特徴。上記マドロンと共に ツツジ科 なのだそう。

それから、水辺の低木、トヨン(Toyon, Heteromeles arbutifolia)にも親しんできました。これは我が家の近所のエルドラド パーク にもたくさんあるのですが、“よく似た葉っぱの木が全部トヨンに見えてしまう病” にかかっていました。ちょっとよくなったかも。


二日間色々と自生種を見て、一つ不思議だったこと

カリフォルニア シカモア(California Sycamore, Platunus racemosa)に全くお目にかからなかったこと。二か所とも、ちゃんと水の流れるクリークがあったにもかかわらずです。気候が合わないわけではないはずだけど。

街路樹でさえ、ロンドン プレーン ツリー は好んで植えられていたのですが カリフォルニア シカモア は本当に皆無。

分かったら報告します。



以上です。




2014年10月3日

しばらくご無沙汰でした。娘が巣立ち、樹木ウォッチングは迷い中。




9月のエントリーはたったの二件だけでした。ほぼひと月ぶりの投稿です。

ご無沙汰の理由はいろいろありますが、まずなにより、夏バテ気味でした。仕事の時間が増えたことと、今年の夏がことのほか暑かったせいだと思います。炎天下に長時間駐車した車を運転して移動することが多く、熱中症気味だったかも。

それから、次女が家を出ました。UC Davis (カリフォルニア大学 デービス校)に3年次からの転入です。私にとっても一大事で、ブログのことは気になりながら、放置していたという感じです。この夏は もうすぐいなくなる娘” と過ごす最後の日々を、なんとか日常に流されないで味わおうともがいていました。おかしな言い方ですが、子供が傍にいることが当たり前であることが終わる前に、その日々を自覚的に過ごそうとしたのです。
次女を送ってDavis に行ったり、長女の家に数日滞在したり、それなりに活動もあり、忙しくもありました。

そして、“樹木ウォッチャー” としては、迷いの段階に入りました。好奇心をドライブに快調にエントリーを重ねているうちに、吸収する情報が加速的に増えてきて、無邪気にに書けなくなってしまいました。例えば、コースト ライブ オークのところでチラッと書きましたが、この自生種に首を突っ込むと、カリフォルニアの気候、地形、歴史などなどのことが絡まって押し寄せてきます。何もかもをブログに書く必要はないのですが、では何を書くかと問うと、自分はブログで何をしたいのかを考えなくてはなりません。夏バテの頭では無理でした。

上記、2番目と3番目については、これからグダグダとエントリーにしてゆくつもりです。この辺を消化しないと先がみえてきませんので。

ここまで書いただけで、だいぶ頭がすっきりしてきました。ブログっていいですね。

以上です。

2014年9月7日

勢い盛んな季節が過ぎて、ワシントンヤシ2種、W. filifera と W. robusta




ワシントンヤシ属のヤシ2種類、Washingtonia filifera と  Washingtonia robusta の続編です。


今までのエントリー:

2014年3月2日 ワシントンヤシ属のヤシ2種、Washingtonia filifera と Washingtonia robusta


2014年3月9日 ロサンゼルス市における メキシカン ファン パーム (W. robusta )の興亡



これらのエントリーを3月の初旬に投稿して以来、6ヶ月が経ちました。


その間このヤシたちは、日に日に厳しくなってゆく日差しの下で高い樹冠に勢いよく花をつけ、そして、その盛んな季節も今過ぎようとしています。


折々に写真を撮りましたので、ご覧ください。





6月、ロブスタさん(W. robusta)の花です。

June 13, 2014 Valley View St. Buena Park, CA


枯葉が除去してあると、こんなに絢爛と見えるのですね。

花の季節が何時なのかはっきりとは分かりませんが、5月から6月にかけてが多いように見えます。それでも、かつての投稿で2月の花の写真を載せているので、はっきり決まった時期は無いのかもしれません。


同じく6月。これは、あまり手入れのよくないロブスタさん。


june 13, 2014  Orangethorpe Ave. Buena Park, CA



上の樹冠のズーム。花はもう終わったようで、枯れた色をしています。枯葉と相まってボロをぶら下げているようになっています。


june 13, 2014  Orangethorpe Ave. Buena Park, CA




こちらは、手入れのいいフィリフェラさん(W. filifera)。
隣のコミュニティ カレッジの庭園の植栽。9月です。花の季節は過ぎて枯れています。きれいな季節を見逃しましたが、見事だったかも。来年はもうちょっと早くきてみよう。

September 7, 2014, Cypress Community College, Cypress, CA 


上のズーム。

September 7, 2014, Cypress Community College, Cypress, CA 



果実

花のあと、実が鈴なりです。

august 22, 2014  Valley View St. Buena Park, CA





剪定



ヤシの剪定は、大型のクレーン車についたバスケットに人が乗って行うか、あるいは、文明の利器を使わずに危険を冒してよじ登って行うかのようですが、見たことがありません。交通量の少ない夜中にしているのかな。



6月です。すごく刈り込まれています。
一番左がロブスタさん、あとの3本はフィリフェラさんです。左から二番目は幹が細めですが、ロブスタさんならもっと細いはず。葉の刈り込まれ過ぎが続いて栄養が悪いのかしら。

それと、葉柄の基部も、いい加減な感じで幹にくっついています。
June 26, 2914, Orange Ave. Cypress, CA

あまり葉を少なくすると、いくら丈夫なワシントンヤシ属のヤシでも枯れることがあるそう。でもこんなに背の高いヤシの剪定は大変(お金がかかる)なので、このようにツンツンにしてしまって、当分剪定しなくていいようにしているのでしょう。


上と同じ所の9月。手前の左が、上の写真の一番右のヤシです。(右手前は、クイーンパーム)
花も実も無いヤシ。葉っぱはほんの少し増えているような。

September 7, 2914, Orange Ave. Cypress, CA




典型的な姿

以前の投稿で典型的な姿と称した写真を載せましたが、あれから6ヶ月に渡ってヤシを見てきて、見る目が変わってきました。
私の住む南カリフォルニア、オレンジ郡北部では、手入れのいいワシントンヤシ属の街路樹は、大型商業施設周辺以外では、むしろ少数派と思います。

恐らく、市が植えて管理しているものより、個人の庭や小さい商業施設等に植えてあるものが多く、手入れは管理者の心がけ次第となっているからでしょう(こんな偉そうなことを書くときに限ってはずれるような気もしますが、今のところの感想ということで)。



一本だけ。水滴型を逆さにしたような樹冠の形。典型的なロブスタさんだと思います。


September 7, 2014 Knott Ave.  Anaheim, CA


並んだところ。
September 7, 2014 Knott Ave. Anaheim, CA


松の木の壁の前に並んだ、フィリフェラさんとロブスタさん。
September 7, 2014 Knott Ave. Anaheim, CA






雑草並みと言われる



W. robusta は、ちょっと気を許すと、道端や庭の片隅で芽を出し大きくなっていたりします。鳥が実を食べて、糞と共に種を落とすそうで、電線や木の下によく生えるそうです。



ちょっと見にくいですが、斜面に2本。

March 13, 2014  Gilbert St. Fullerton, CA

斜面の下にも。


March 13, 2014  Gilbert St. Fullerton, CA



これは、きっとロブスタさんのはずです。手入れを放棄しているとこうなる。
March 18, 2014  Loma Verde, Fullerton, CA





最後に、いい写真


以前にも登場したロブスタさんですが、天気のいい朝だったのでうまく写せたと思います。これは、市が管理しているはず。

自分で実際に見た範囲で、もっとも背が高いのじゃないかと思っています。このオレンジ アベニューはかなり古い通りなのかも知れません。


September 7, 2014  Orange Ave, Cypress, CA



以上です。





2014年9月1日

夏の終わりに小さな黄色い花がつく木は、モクゲンジ属(Koelreuteria)ゴールデンレイン ツリー の仲間




ムクロジ科(Sapindaceae)、モクゲンジ属(Koelreuteria)の花木、落葉樹です。

私の活動範囲で、少なくとも2~3種類あるはずですが、よく似ているので(今のところ)種名の確定ができてませんなので呼び名は、一括してモクゲンジの仲間、あるいは Koelreuteria(英語読みだと コールルーテリア)の仲間、あるいは ゴールデン レイン ツリーの仲間と呼ぶことにします。




まず、写真をご覧ください。

ロングビーチ市にあるハートウェルパークの木です。
道路沿いに並んでいて、小さな黄色い花を咲かせていました。7月の写真です。
July 14, 2014  Heart Well Park, Long Beach, CA



同じ公園です。昨日8月31日。今が花盛りです。
August 31, 2014  Heart Well Park, Long Beach, CA






同じくロングビーチ市の、エル ドラド パークの7月です。

上の写真とは種類が同じではないけれど、仲間のはずです。花と共に、実が付いていました。この写真の方がうまく写っています。
July 27, 2014  El Dorado Park East, Long Beach, CA


花が、立ちのぼるように咲いています。
July 27, 2014  El Dorado Park East, Long Beach, CA




実がたくさん付いている木はこんな感じ。遠目には花に見えます。
July 27, 2014  El Dorado Park East, Long Beach, CA





たぶん、この三種類のどれか

1.
学名:  Koelreuteria paniculata(コエレレウテリア パニクラータ)
英語名: Goldenrain Tree(ゴールデン レイン ツリー)
日本語名:モクゲンジ
原産:  中国
花期:  夏
果実:  茶色、黄色、(他の資料では緑、熟すとオレンジ、ピンク)
葉:   複葉、一回羽状

2.
学名:  Koelreuteria bipinnate(コエレレウテリア ビピナーテ)
英語名: Chinese Flame Tree(チャイニーズ フレーム ツリー)
日本語名:オオモクゲンジ、フクロミモクゲンジ
原産:  中国
花期:  夏~秋
果実:  オレンジ、赤、ローズピンク
葉:   複葉、二回羽状

3.
学名:  Koelreuteria elegans(コエレレウテリア エレガンス)
英語名: Flamegold(フレームゴールド)
日本語名:タイワンモクゲンジ
原産:  台湾
花期:  初夏から夏の半ば、他の資料では夏から秋
果実:  ピンク
葉:   複葉、二回羽状

主に、以下を参考にしてます。
UFEI の Koelreuteria属 から各種
Wikipedia K. bipinnata
Wikipedia K. paniculata
University Florida K. elegans



英語名は、それぞれゴージャスな名前がついています。
Goldenrain Tree(金の雨の木)、Chinese Flame Tree(中国の炎の木)、Flamegold(燃え上がる金)。何となく中国趣味。


ゴールデン レイン は、黄色い花が散る様子を金の雨にたとえているのでしょう。下の写真は、地面に黄色い花が散っている様子。雨のように降るのでしょうか、見たいものです。
July 14, 2014  Heart Well Park, Long Beach, CA



また、花が上向きの円錐状についている様を炎に見立てたのでしょうか。
July 27, 2014  El Dorado Park East, Long Beach, CA





果実がとても特徴的で、ランタンに例えられたりしているので、“ピンクちょうちんの木” とかもありそうなのですが、無いです。



果実

三つの部分からなる膨れた袋状のカプセルと表現されています。
July 27, 2014  El Dorado Park East, Long Beach, CA






開いた中はまだ種が熟していない。







下の写真は、今年の春に見つけた果実。実ってから半年以上経っているはずです。


April 7, 2014  Heart Well Park, Long Beach, CA


落ちていたもの。種が黒く熟しています。
April 7, 2014  Heart Well Park, Long Beach, CA


枝ごと落ちていたのもありました。
April 7, 2014  Heart Well Park, Long Beach, CA





複葉について: 一回羽状、二回羽状とは


複葉とは、キャロット ウッドの葉のように、一枚の葉っぱに見えるのが実は小葉と呼ばれる葉の一部で、複数の小葉が集まって葉となるものです。

今回の上記の三種類を見分ける特徴で、唯一参考になりそうなのは、ゴールデンレインツリーは複葉が一回羽状で、その他は二回羽状というものです。(一回羽状、あるいは二回羽状という言葉で画像検索すると分かりやすい図が見つかります)

写真を撮っていた段階で、葉の付き方のことなど考えていなかったので(つまり、超初心者)分かりやすい写真が少ないのですが、下の写真を見てください。

幹に斜め下向きに掛かっているのが枝で、そこから葉柄が出てその葉柄に小葉が着いていると見ます。これが一回羽状。だからゴールデンレイン ツリー(自信あるのか、私?)。ハートウェルパークの木です。


April 7, 2014  Heart Well Park, Long Beach, CA


次はエルドラドパークの木。
花が着いている枝から下向きに伸びている葉をみてください。枝から伸びているのが葉柄で、その葉柄からさらに軸が伸び、それに小葉がついている。こういうのを二回羽状と言のです。だから、チャイニーズ フレーム ツリー あるいは、フレームゴールド。どちらかは、分かりませんが。


July 27, 2014  El Dorado Park East, Long Beach, CA


街路樹として割とよく見ます

今頃小さい黄色い花が咲く木は、これの仲間だと思います。写真は撮ってないのですが、私の住む近辺では街路樹として珍しくありません。

春から初夏にかけては、ニセアカシアの黄色い花が目立っていましたが、もう少し大きい花ですし、今はとっくに花は終わって豆状の実がついている頃です。

Google マップで、Goldenrain とか Goldenrain Tree と入れると通りの名前がでてきます。カリフォルニアだけでなく、テキサスやミズーリにもあります。だから勝手ですがゴールデン レイン ツリーをこの属の代表名にしてます(本当に勝手)。Flame Tree という名の通りもあるのですが、これは多分別の木でしょう、多分ね。Flamegold は無いようです。




ちょっといい加減な、ゴールデンレインツリーの仲間の木の記事でした。




ユーカリや、オークは、はっきり種類を見分けたいという情熱があるのですが、花が目立つ木は、なぜか追及の手がゆるみます。園芸品種のようなのがいろいろあるせいで素人にはわかりにくいからかもしれません。

もし、分かる方がいらっしゃったら情報大歓迎です。



2014年8月24日

慎ましい線香花火か、毛の生えた電信柱か --- シュロ (windmill Palm, Trachycarpus fortunei)



日本でもよく見られる、シュロ(棕櫚)です。

日本の実家には、シュロが一本ありました。
手先が器用だった父は、葉でハエたたきを作ったり、幹の繊維質の皮をほぐして棕櫚縄を作って竹の垣根を結んだりしていました。ほかの多くのヤシ同様、いろいろと利用されてきた植物なのです。

まず写真をどうぞ。
電信柱と街灯を挟んで3本写っています。その向うはクイーンパーム。
August 8, 2014  Orangethorpe Ave. Buena Park, CA


学名:   Trachycarpus fortunei (トラキカルプス フォルツネイ)
英語名:  Windmill Palm
日本語名: シュロ
原産地: 中国


ウィキペディアでシュロを調べると、Trachycarpus fortunei は日本語ではワジュロを指します。また、それによく似た種類にトウジュロ(Trachycarpus wagnerianus)というのもあます。トウジュロをワジュロと同種とみなす説もあり、その場合は両方を、Trachycarpus fortunei と呼ぶとのことです。

ワジュロは掌状の葉の葉先が垂れ、トウジュロはピンとして垂れないということですが、私が見た範囲では分かりにくいので、ここでは今のところ、違いを気にせずに “シュロ” と呼ぶことにします。


1.一本立ちでは淋しい

街路樹ウォッチャーとして、いろいろなヤシを日々目にします。ヤシ達はそれぞれに存在感を放ちながら空の一角を占めているのですが、シュロが道路沿いに一本ずつ植えられている姿が目に入ると、私には、彼らがカリフォルニアの広い空の下で居心地悪そうに身をすぼめているように見えてしかたがありません。
August 7, 2014  Stanton Ave.  Buena Park, CA



写真で見れば Washingtonia robusta(メキシカン ファン パーム)に似た形をしていますが、大きさはずっと小ぶりです。さらに、写真のように足元がすぼまっている上に、幹が妙に真っ直ぐで、どうにも身をすくめて立っている印象を強めるのです。

ささやかな線香花火が連想されますし、また、その律儀なまでの真っ直ぐさは本当に電信柱に紛れてしまいそうです。





我らが ロブスタさんメキシカン ファン パーム のここだけの呼び名)とどれくらい違うかというと、下の写真を見てください。

手前と奥の二本のシュロに間に、同じく二本の若いロブスタさんが覗いています。
August 7, 2014  Stanton Ave.  Buena Park, CA


もっと近づいてみると、その大きさと共に、“やりたい放題” とでも表現するのがふさわしいような勢いが感じられます。


August 7, 2014  Stanton Ave.  Buena Park, CA



なぜ、このシュロを街路樹に選んだのでしょう。勝手に想像してみました。

まず、カリフォルニアの各市はロブスタさんに心からうんざりしていると思います。旺盛な成長ぶりで新しい葉や花や果実がふんだんに着き、それが枯れて垂れ下がります。放置すれば巨大な葉が風に吹かれて飛んで危険なので剪定しなくてはなりませんが、高所の作業にはかなりの費用が掛かることでしょう。

実際今は、市が管理していそうな街路樹にこのロブスタさんを新たに植えることはあまり無いと想像します。そして、その代替が、グアダルーペパーム(Guadalupe Palm)や クイーン パーム、そしてシュロなのだと思います。

その中でシュロは、値段が安くて供給が十分あるのは本当のようです。また、本来十分な水と肥料が必要なヤシなのですが、干ばつ耐性があります。つまり、安くて、あまり大きくならず、手間がかからない。

でも私は、シュロは、街路樹には淋しすぎて向かないという立場を堅持します(誰に対して?)。



下の写真は、私が見た中で一番立派なシュロ。隣のきれいなキング パームのおかげで淋しさが救われています。
August 7, 2014  Artesia Blvd, Buena Park, CA





2.庭園風に植えてあると、なかなか良い感じ

下の写真は、道路の中央分離帯のシュロです。足元がむき出しで無く、落ち着いて見えます。
August 7, 2014  Moody St. Cypress, CA





我が街サイプレス市は街路樹の植え方に特徴があって、同じ種類ばかりを植えずに、いろいろ取り混ぜ、庭のような雰囲気を出している道路がよくあるのです。趣味のいい担当者がいるのかしら。



さらに、中央分離帯の写真。奥の方は、2本くっついて植えてある。
August 7, 2014  Moody St. Cypress, CA


下の写真は、隣の コミュニティー カレッジ の中の庭園です。ファン パーム つまり 葉が掌状のヤシ3種類の寄せ植えがありました。

葉がモリモリとしていて、幹が複数出ているのは Mediterranean Fan Palm (Chamaerops humilis)、その右隣が シュロ、そして後ろにヒョロっとした幹が3本と樹冠がひとつ見えているのが ロブスタさん。
August 24, 2914  Cypress Community College, Cypress, CA


ついでですが、Mediteranean Fan Palm は日本語でチャメロプスと呼ばれていると思います。このヤシは、やはり干ばつ耐性に優れ、そのせいか、シュロと一緒に植えてあるのをよく見かけます。幹が数本だけだとシュロのように見えますが、幹の真っ直ぐさがシュロのように律儀ではありません。また、チャメロプスには葉柄にはっきりした長い棘があるので、近寄ることができれば更に確実に見分けられます。


3.その他写真

葉と果実です。黄色い花を見たのですが、写真を撮らないまま季節が過ぎました。
雄花の付く木と雌花の付く木が別々、つまり雌雄異株だそうです。
August 7, 2014  Stanton Ave.  Buena Park, CA


剪定した後の葉柄が突き出しているところ。葉を切らなければ枯れた葉が残って垂れ下がるのかも。
August 7, 2014  Stanton Ave.  Buena Park, CA

繊維質の樹皮
August 7, 2014  Stanton Ave.  Buena Park, CA





以上、シュロでした。