日本でもよく見られる、シュロ(棕櫚)です。
日本の実家には、シュロが一本ありました。
手先が器用だった父は、葉でハエたたきを作ったり、幹の繊維質の皮をほぐして棕櫚縄を作って竹の垣根を結んだりしていました。ほかの多くのヤシ同様、いろいろと利用されてきた植物なのです。
手先が器用だった父は、葉でハエたたきを作ったり、幹の繊維質の皮をほぐして棕櫚縄を作って竹の垣根を結んだりしていました。ほかの多くのヤシ同様、いろいろと利用されてきた植物なのです。
まず写真をどうぞ。
電信柱と街灯を挟んで3本写っています。その向うはクイーンパーム。
August 8, 2014 Orangethorpe Ave. Buena Park, CA |
学名: Trachycarpus fortunei (トラキカルプス フォルツネイ)
英語名: Windmill Palm
日本語名: シュロ
原産地: 中国
ワジュロは掌状の葉の葉先が垂れ、トウジュロはピンとして垂れないということですが、私が見た範囲では分かりにくいので、ここでは今のところ、違いを気にせずに “シュロ” と呼ぶことにします。
1.一本立ちでは淋しい
街路樹ウォッチャーとして、いろいろなヤシを日々目にします。ヤシ達はそれぞれに存在感を放ちながら空の一角を占めているのですが、シュロが道路沿いに一本ずつ植えられている姿が目に入ると、私には、彼らがカリフォルニアの広い空の下で居心地悪そうに身をすぼめているように見えてしかたがありません。August 7, 2014 Stanton Ave. Buena Park, CA |
写真で見れば Washingtonia robusta(メキシカン ファン パーム)に似た形をしていますが、大きさはずっと小ぶりです。さらに、写真のように足元がすぼまっている上に、幹が妙に真っ直ぐで、どうにも身をすくめて立っている印象を強めるのです。
ささやかな線香花火が連想されますし、また、その律儀なまでの真っ直ぐさは本当に電信柱に紛れてしまいそうです。
我らが ロブスタさん(メキシカン ファン パーム のここだけの呼び名)とどれくらい違うかというと、下の写真を見てください。
手前と奥の二本のシュロに間に、同じく二本の若いロブスタさんが覗いています。
August 7, 2014 Stanton Ave. Buena Park, CA |
もっと近づいてみると、その大きさと共に、“やりたい放題” とでも表現するのがふさわしいような勢いが感じられます。
August 7, 2014 Stanton Ave. Buena Park, CA |
なぜ、このシュロを街路樹に選んだのでしょう。勝手に想像してみました。
まず、カリフォルニアの各市はロブスタさんに心からうんざりしていると思います。旺盛な成長ぶりで新しい葉や花や果実がふんだんに着き、それが枯れて垂れ下がります。放置すれば巨大な葉が風に吹かれて飛んで危険なので剪定しなくてはなりませんが、高所の作業にはかなりの費用が掛かることでしょう。
実際今は、市が管理していそうな街路樹にこのロブスタさんを新たに植えることはあまり無いと想像します。そして、その代替が、グアダルーペパーム(Guadalupe Palm)や クイーン パーム、そしてシュロなのだと思います。
その中でシュロは、値段が安くて供給が十分あるのは本当のようです。また、本来十分な水と肥料が必要なヤシなのですが、干ばつ耐性があります。つまり、安くて、あまり大きくならず、手間がかからない。
でも私は、シュロは、街路樹には淋しすぎて向かないという立場を堅持します(誰に対して?)。
下の写真は、私が見た中で一番立派なシュロ。隣のきれいなキング パームのおかげで淋しさが救われています。
August 7, 2014 Artesia Blvd, Buena Park, CA |
2.庭園風に植えてあると、なかなか良い感じ
下の写真は、道路の中央分離帯のシュロです。足元がむき出しで無く、落ち着いて見えます。August 7, 2014 Moody St. Cypress, CA |
我が街サイプレス市は街路樹の植え方に特徴があって、同じ種類ばかりを植えずに、いろいろ取り混ぜ、庭のような雰囲気を出している道路がよくあるのです。趣味のいい担当者がいるのかしら。
さらに、中央分離帯の写真。奥の方は、2本くっついて植えてある。
August 7, 2014 Moody St. Cypress, CA |
下の写真は、隣の コミュニティー カレッジ の中の庭園です。ファン パーム つまり 葉が掌状のヤシ3種類の寄せ植えがありました。
葉がモリモリとしていて、幹が複数出ているのは Mediterranean Fan Palm (Chamaerops humilis)、その右隣が シュロ、そして後ろにヒョロっとした幹が3本と樹冠がひとつ見えているのが ロブスタさん。
August 24, 2914 Cypress Community College, Cypress, CA |
ついでですが、Mediteranean Fan Palm は日本語でチャメロプスと呼ばれていると思います。このヤシは、やはり干ばつ耐性に優れ、そのせいか、シュロと一緒に植えてあるのをよく見かけます。幹が数本だけだとシュロのように見えますが、幹の真っ直ぐさがシュロのように律儀ではありません。また、チャメロプスには葉柄にはっきりした長い棘があるので、近寄ることができれば更に確実に見分けられます。
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