南カリフォルニアの都会の森の樹木ウォッチングに熱中しています。 “樹木リスト” のタブをクリックしていただくと、取り上げた樹木のリストと、その記事へのリンクがあります。
2014年5月28日
日本にいます。しばらくお休みです。
5月16日から日本の実家に来ています。
高齢の母の家で、片付け、ゴミ捨て、食事つくりなどして過ごしています。
こちらでも記事を書けると思っていましたが、思ったより落ち着かず、ブログ放置状態になってしまいました。以前の自分が別世界にいたように感じます。
あと10日程で帰国しますので、落ち着いたら再開するつもりです。
2014年5月11日
クイーンパーム(ジョオウヤシ)について、それからキングパームについてちょっと
以前に、クイーン パームは、私の住んでいるところでは街路樹も、ビジネスパークにも、ショッピングセンターにも、個人の庭にもイヤになるほどたくさんある、と書いたような気がしますが、本当にそうです。
そして、それ以外に書くことがないので今まで記事にしませんでしたが、外に出てこのヤシが目に入る度に何か書かなくてはとプレッシャーを感じるので、とにかく何かを書きましょう。
住宅地の街路樹。
2014年3月11日 Rosemary Dr. Cypress, CA |
ショッピングセンターの駐車場。ワシントンヤシの仲間、Washingtonia robusta も混じってます。
2014年3月11日 Cypress Plaza East Shopping Center, Cypress, CA |
名前は:
学名: Syagrus romanzoffiana (シアグルス ロマンゾフィアナ)
英語名: Queen Palm
日本語名: ジョオウヤシ (女王ヤシ)
英語名のカタカナ表記である “クイーンパーム” が私にはしっくりするので、勝手ですがこの名を使います。
原産地は、ブラジル南部からアルゼンチン北部にかけて。
南カリフォルニアのような乾燥した気候が最適なヤシではないものの、ある程度の干ばつには耐えられるとのこと。適切に水と肥料を与えれば、非常に美しい姿に育つらしい。
確かに、個人の庭のクイーンパームは、葉が黄色くなってしょんぼりしたのや、いかにも幸せそうにつやつやしたのまで、いろいろ見られる。街路樹のクイーンパームは、ちゃんと世話されているらしく、おおむね元気そうに見える。
写真のとおり、葉は羽状。カナリーヤシやナツメヤシの羽状の葉に比べて小葉が長く柔らかく垂れ下がり、少しの風でサヤサヤと動く。
樹高は15メートル以上になるそう。成長の早いヤシで、種から育てて数年で 2メートルにまで達するので、安価で十分な供給がある。だからこんなに沢山植えてあるのね。
若いクイーンパーム。
2014年3月11日 Cypress Plaza East Shopping Center, Cypress, CA |
一つの花に雌蕊、雄蕊が両方あるそう。
クリーム色の花房。庇のような覆いがついている。
2014年4月1日 Holder St. Cypress , CA |
2014年5月9日 Shopping Center on Imperial Hwy, Brea |
果実は熟すと、オレンジ色になって落ちる。
2014年3月6日 Norwalk Blvd, Cerritos, CA |
花は一年に何度も咲くのか、木によって花が付くときが違うのか、わかりません。一年ひと周り見てみます。
2014年3月11日 Cypress Plaza East Shopping Center, Cypress, CA |
幹には、葉がとれた跡が輪の模様になってついています。
実は私は、このヤシの木にはあまり愛着を覚えないのですが、何故なのか考えました。
多分、たっぷりした葉があまりにも動きすぎるのが、見ていて落ち着かない気がするせいだと思います。風の強い日は、胸騒ぎを誘うような気さえします。
この地のこのヤシの歴史が浅くて、比較的背の低いものが主流なので、幹と葉のバランスが良くないのかもしれません。
以下、いろいろ写真をどうぞ。
かなり背の高いクイーンパーム。このヤシは建物を小さく見せるように思います。
2014年3月7日 Katella Ave. Stanton, CA |
Googleのストリートビューです。幹線道路の中央分離帯に延々とクイーンパームがうえてあります。
Google Street View Beach Blvd Westminster, CA |
個人住宅の前庭にも好んで植えられています。
Google Street View Colgate Ave. Westminster, CA |
同じく、個人住宅。ちょっと行き過ぎ、かな。
2014年3月6日 Norwalk Blvd, Cerritos, CA |
ところで、大きさや葉の感じが似ているヤシに キングパーム というのがあります。
学名: Archontophoenix alexandrae
(アルチョントフォエニクス アレキサンドラエ)
英語名: Alexandra Palm, Alexander Palm, King Palm
日本語名: ユスラヤシ、キングパーム
オーストラリアのクイーンズランド原産。
個人住宅の前庭。根元から複数の幹が出ていることが多い。
2014年3月8日 Cerritos Ave. Anaheim, CA |
2014年3月11日 Rosemary Dr. Cypress, CA |
羽状の葉や、幹の感じがクイーンパームに似ていますが、こちらの方が、葉がピンとしています。
また、キングパームは葉柄の基部がクラウンシャフト(crownshaft)と呼ばれる広がった形になっていて、鞘の様に幹を覆っています。
2014年2月23日 Cypress College, Cypress, CA |
クラウンシャフト
そして、花と果実はクラウンシャフトの下に付きます。
クラウンシャフトのあるヤシは、いろいろな種類があるらしいですが、この辺りではこれだけです。
以上、クイーンパーム と キングパームでした。
2014年5月4日
アメリカン スイート ガム とは モミジバフウ のこと
美しい落葉樹、アメリカン スイートガム(American Sweetgum)。日本語名は、モミジバフウ。
シカモアと同じく、裸の幹をカリフォルニアの強い日差しにさらしていましたが、4月になるとさすがに緑の葉で覆われました。
googleのストリートビューで3月の様子。うっすらと緑色が見えています。
March 2011 Google street view Civic Center Way, Lakewood, CA |
これは、4月も終わりごろに自分で行って撮ってきました。
もっと葉が繁っていることを期待していましたが、剪定されていました。
2014年4月25日 Civic Center Way, Lakewood, CA |
剪定されていなければこんな感じ。
2014年4月18日 Randolph Ave. Brea, CA |
アメリカン スイートガム(American Sweetgum)。アメリカの甘いガム。
これのどこがいったい木の名前なんでしょう。
この名から、ためらいなく木が思い浮かぶようになるには、私の頭の中で Gum(ガム} とチューインガムが直結している認識をほぐさなくてはなりませんでした。
英語で Gum は、木の樹皮からしみ出る樹脂あるいは樹液の意味があります。
チューインガムは、ある種の樹脂を噛んでいたのが始まりですし、ゴムは、ガムと語源が同じで、やはり樹脂から出来ています。
名前を整理します。
学名: Liquidambar styraciflua(リクィドアンバー スティラチフルア)
英語名: American Sweetgum, Liquidambar
日本語名: モミジバフウ、アメリカフウ
学名、英語名共に樹液のことを指しています。実際、甘い樹液をとることができるそうですが、サトウカエデほど甘くはないらしいです。
葉がよく似ているカエデとは、かなり遠い関係です。同じくシカモアとも近くありません。
原産地はアメリカ東部。
葉が出始めたころは、離れて見て、シカモアと区別がつかなかったのですが、葉が大きくなるにつれはっきりしてきました。明るい透明感のある葉がきらきらと陽に輝き、黒っぽい幹がそれを引き立てています。
2014年4月18日 Randolph Ave, Brea, CA |
モミジに似た葉はシカモアよりずっと小さく、空を背景に星のような形に見えます。
実がぶら下がっています。これも、一見シカモアに似ていますが、近くで見るとちがいます。
2014年4月12日 Cypress College, Cypress, CA |
2014年4月18日 Randolph Ave, Brea, CA |
2014年4月18日 Randolph Ave, Brea, CA |
花と果実。一本の木に雄花と雌花が別々につくそうです。落ちている花がどちらなのか分かりません。
2014年4月18日 Randolph Ave, Brea, CA |
幹のようす。縦に筋が入っています。
2014年4月12日 Cypress College, Cypress, CA |
2014年4月12日 Cypress College, Cypress, CA |
紅葉の季節になったら、また写真を撮りに行きます。
以上、アメリカン スイート ガム でした。
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余談ですが、Gum が名前につく木は、ほかにも沢山あります。特にユーカリの仲間に多く、Blue Gum、Red Gum、Sugar Gum、Lemon Scented Gum 等々。
十年ぐらい前に、ある通りの名前にブルー ガム、レッド ガム というのが隣り合ってあるのを見つけたとき、なんと殺風景な名前をつけるのだろうと思っていました。それがユーカリの名だと気がついたのは、今年になってのことです。新しい発見があると楽しいです。
2014年5月3日
まだプラタナスの仲間、シカモアの続き
プラタナスの仲間の木。シカモアについて4月13日と27日に記事を書きましたが、もう少し続きです。
木の種類とそれぞれの呼び名が私の中で混乱してますので、まず整理します。
この樹木ウォッチングで取り上げているのは、カリフォルア シカモア と ロンドン プレーン ツリー。
日本語の “スズカケノキ” という名称は、私には何となくしっくりこないので、英語名のカタカナ表記を選びました。
両方の木を指す総称として は “シカモア” にします。日本での総称 “プラタナス” は属の名でもあるので、場合によって使うと思います。
これで良いのか迷いますが、当面はこれで通します。別の表記を混ぜることがあるかもしれませんが、混乱を生じないよう気を付けます。
1.名前について
カリフォルニア シカモア学名: Platanus racemosa (プラタヌス ラチェモーザ)← ラテン語読みです
英語名: California Sycamore
日本語名: カリフォルニアスズカケノキ
カリフォルニアの自然の水辺に自生する。
2014年4月12日 Cypress College, Cypress, CA |
葉の切れ込みが深く、果実は3~6個つながっているのが見分ける特徴。
ロンドン プレーン ツリー
学名: Platanus × hispanica(プラタヌス ヒスパニカ)
または、Platanus × acerifolia
(交雑種であることを “×” で表示するとのこと)
英語名: London Plane Tree
日本語名: モミジバスズカケノキ
Platanus occidentalis と Platanus orientalis の自然交配種。両方の種類が混じって自生していたスペインで、最初に見つかったそう。
街路樹として、世界中で好んで植えられている
2014年4月11日 Lambert Rd. Brea, CA |
葉の切れ込みが浅い。
2014年4月22日 Orangethorp Ave. Fullerton, CA |
果実は1~3個つながる。
名前にこだわりついでに、もう少しこだわりを。
属の名称である “Platanus” 並びに ロンドン プレーン ツリー の “Plane” は、語源がどちらも “広い” という意味なのだそう。葉が大きい特徴を指しています。
“Sycamore” は、もう少し面倒くさい経緯があります。
まず、イチジクの仲間である Sycamore Fig が、最初に“Sycamore” の名をもらった植物なのだそうです。“Sycamore” だけで “クワ(桑、mulberry)のような葉をしたイチジク” の意味があるとのこと。
後に、そのイチジクに葉が似ているということで、プラタナス属の植物にもSycamoreの名がつきました。(ついでに、Sycamore Acer というカエデの一種の名も、同じく上記イチジクの由来です。)
いずれも、分類上別々の植物ですが、葉の特徴から同じ名をもらいました。植物の一般名は、こんな風にこんがらがっていることが多いのでしょうね。
2.それで、私は、カリフォルア シカモア と ロンドン プレーン ツリー を見分けられるようになったか?
離れて見たら、いいえ。でも、街路樹ならだいたい見当はつきます。たとえば、車で通りがかりに街路樹があったら、シカモアだとは分かります。幹の白さ、葉の独特の白っぽい緑色が特徴です。それ以上の違いは、葉を見なくては分かりませんが、それでも、街路樹ならロンドン プレーン ツリー だと思ってまず間違いないでしょう。
ここ一か月弱の間、近づいて確かめた街路樹はすべて ロンドン プレーン ツリー でした。私の住んでいる近くに限ってだし、ほんの六か所くらいしか見てないので、これだけだと説得力に乏しいですが、もう一つ別の理由があります。
ロンドン プレーン ツリー は、他の種類に比べて病気になりにくいのだそうです。また、様々な栽培品種があり、それぞれ得意とする病気の耐性があるらしいです。街路樹として一度にたくさんの個体を植えるのなら ロンドン プレーン ツリー を選ぶのがまともな判断ですよね。
対するカリフォルニア シカモア は、病気の宝庫らしいです。例えば、幹が変形したり大きく傾いているのは、春先の新しい枝が出るころに罹るカビによる病気のせいなのだそうです。ただ、そのせいで枯れることはほとんど無く、病気とともに生きているというのが実態なのだそうです。そもそも、自生種には害虫や病気がつきものだと、どこかに書いてありました。
なので、ロンドン プレーン ツリー ではなく、わざわざ カリフォルニア シカモア を植えるのは、それなりのわけがある場合だけになると思います。それは多分、自生種を植えることで都市化される以前のカリフォルニアにつながりたいということじゃないかな。かなり、私の想像がまじってますが、そんな気がします。
広いスペースのあるところにこの木を植えて、あまり剪定しないで育てたら、(上記の病気の理由もあり)個性的な枝ぶりの大木に育ち、見栄えのいい注目を引く木に育つと思います。
3.両種が混じっているところもあった。何故?
街路樹ではなく、ビジネスパークなどの広い駐車場を持つ施設にも、シカモアが植えてありました。ほとんどが ロンドン プレーン ツリー だったのですが、カリフォルニア シカモア が何気なく交じっていることがあるのです。2014年4月24日 Business Park, Katella Ave. Cypress, CA |
正確には、街路樹ではないけれど、一列に並んで植えてある駐車スペースのロンドン プレーン ツリー
同上 |
剪定の季節でしょうか、一部、さっぱりと刈り込まれていました。
葉は、確かにロンドン プレーン ツリーです。
同上 |
同上 |
下の写真は、ロンドン プレーン ツリー だらけのところに交じっていた、カリフォルニア シカモア。
実も葉も、カリフォルニア シカモアの特徴を備えていました。それに、幹が二股に別れているし、周りの木より大きかったです。カリフォルニア シカモアは、ロンドン プレーン ツリー より成長が早いのです。
同上 |
この広いビジネスパークに、少なくとも四本カリフォルニア シカモアがありました。
そのほか、近くの市役所の駐車場にも、ロンドン プレーン ツリー だらけのところにカリフォルニア シカモアが一本交じってました。やはり、わざわざカリフォルニア シカモアを選んで植えたというような植え方ではなかったです。
私の少ない知識からの想像は、大量の若い木を植えるときに、間違って少しカリフォルニア シカモアが交じって来たということ。実も葉もついていない時期だったら分からないでしょう。病気で枯れたりしない限り、誰も気にしないのでしょうね。
でも、街路樹ではこんなことはないのだから、ビジネスパークの苗木は何か違うのかな。
もう一つ、訳が分からないほど交じっていたところは、El Dorado Park の ネイチャー センター。
ここは、以前に記事で紹介したように、自然の水路があり、水辺に植物が茂っているところです。背の高いシカモアが林立し美しいです。
2014年4月29日 El Dorado Park, Nature Center, Long Beach, CA |
同上 |
葉を見ると、カリフォルニア シカモア と ロンドン プレーン ツリー と両方あると思います。それに、何だか別のもあるように見えます。
こんな想像はどうでしょう:
公園の外の街路樹の ロンドン プレーン ツリーの種が風に飛ばされて来て育ち、もとからそこに生えていたカリフォルニア シカモアとの間で色々な雑種ができ、特徴が多様な木が生えている。
完全な素人の想像です。街路樹ウォッチャーには、自然に放置状態の植物はまだ理解の外です。
以上、ゴチャゴチャと書き連ねましたが、シカモアの美しさは独特で際立っています。加えて、カリフォルニア自生種には、うまく言葉で表せませんが、失ったものを惜しむような悲しさも感じます。
今は、まだ五月。これから夏、秋、冬と変わってゆくのを、気長に楽しんで行こうと思います。季節が一巡りしたら分かってくることがあると思います。
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2014年4月13日 プラタナスの仲間、カリフォルニア シカモア(California Sycamore)と ロンドン プレーン ツリー (London Plane Tree)
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