プラタナスの仲間の木。シカモアについて4月13日と27日に記事を書きましたが、もう少し続きです。
木の種類とそれぞれの呼び名が私の中で混乱してますので、まず整理します。
この樹木ウォッチングで取り上げているのは、カリフォルア シカモア と ロンドン プレーン ツリー。
日本語の “スズカケノキ” という名称は、私には何となくしっくりこないので、英語名のカタカナ表記を選びました。
両方の木を指す総称として は “シカモア” にします。日本での総称 “プラタナス” は属の名でもあるので、場合によって使うと思います。
これで良いのか迷いますが、当面はこれで通します。別の表記を混ぜることがあるかもしれませんが、混乱を生じないよう気を付けます。
1.名前について
カリフォルニア シカモア学名: Platanus racemosa (プラタヌス ラチェモーザ)← ラテン語読みです
英語名: California Sycamore
日本語名: カリフォルニアスズカケノキ
カリフォルニアの自然の水辺に自生する。
2014年4月12日 Cypress College, Cypress, CA |
葉の切れ込みが深く、果実は3~6個つながっているのが見分ける特徴。
ロンドン プレーン ツリー
学名: Platanus × hispanica(プラタヌス ヒスパニカ)
または、Platanus × acerifolia
(交雑種であることを “×” で表示するとのこと)
英語名: London Plane Tree
日本語名: モミジバスズカケノキ
Platanus occidentalis と Platanus orientalis の自然交配種。両方の種類が混じって自生していたスペインで、最初に見つかったそう。
街路樹として、世界中で好んで植えられている
2014年4月11日 Lambert Rd. Brea, CA |
葉の切れ込みが浅い。
2014年4月22日 Orangethorp Ave. Fullerton, CA |
果実は1~3個つながる。
名前にこだわりついでに、もう少しこだわりを。
属の名称である “Platanus” 並びに ロンドン プレーン ツリー の “Plane” は、語源がどちらも “広い” という意味なのだそう。葉が大きい特徴を指しています。
“Sycamore” は、もう少し面倒くさい経緯があります。
まず、イチジクの仲間である Sycamore Fig が、最初に“Sycamore” の名をもらった植物なのだそうです。“Sycamore” だけで “クワ(桑、mulberry)のような葉をしたイチジク” の意味があるとのこと。
後に、そのイチジクに葉が似ているということで、プラタナス属の植物にもSycamoreの名がつきました。(ついでに、Sycamore Acer というカエデの一種の名も、同じく上記イチジクの由来です。)
いずれも、分類上別々の植物ですが、葉の特徴から同じ名をもらいました。植物の一般名は、こんな風にこんがらがっていることが多いのでしょうね。
2.それで、私は、カリフォルア シカモア と ロンドン プレーン ツリー を見分けられるようになったか?
離れて見たら、いいえ。でも、街路樹ならだいたい見当はつきます。たとえば、車で通りがかりに街路樹があったら、シカモアだとは分かります。幹の白さ、葉の独特の白っぽい緑色が特徴です。それ以上の違いは、葉を見なくては分かりませんが、それでも、街路樹ならロンドン プレーン ツリー だと思ってまず間違いないでしょう。
ここ一か月弱の間、近づいて確かめた街路樹はすべて ロンドン プレーン ツリー でした。私の住んでいる近くに限ってだし、ほんの六か所くらいしか見てないので、これだけだと説得力に乏しいですが、もう一つ別の理由があります。
ロンドン プレーン ツリー は、他の種類に比べて病気になりにくいのだそうです。また、様々な栽培品種があり、それぞれ得意とする病気の耐性があるらしいです。街路樹として一度にたくさんの個体を植えるのなら ロンドン プレーン ツリー を選ぶのがまともな判断ですよね。
対するカリフォルニア シカモア は、病気の宝庫らしいです。例えば、幹が変形したり大きく傾いているのは、春先の新しい枝が出るころに罹るカビによる病気のせいなのだそうです。ただ、そのせいで枯れることはほとんど無く、病気とともに生きているというのが実態なのだそうです。そもそも、自生種には害虫や病気がつきものだと、どこかに書いてありました。
なので、ロンドン プレーン ツリー ではなく、わざわざ カリフォルニア シカモア を植えるのは、それなりのわけがある場合だけになると思います。それは多分、自生種を植えることで都市化される以前のカリフォルニアにつながりたいということじゃないかな。かなり、私の想像がまじってますが、そんな気がします。
広いスペースのあるところにこの木を植えて、あまり剪定しないで育てたら、(上記の病気の理由もあり)個性的な枝ぶりの大木に育ち、見栄えのいい注目を引く木に育つと思います。
3.両種が混じっているところもあった。何故?
街路樹ではなく、ビジネスパークなどの広い駐車場を持つ施設にも、シカモアが植えてありました。ほとんどが ロンドン プレーン ツリー だったのですが、カリフォルニア シカモア が何気なく交じっていることがあるのです。2014年4月24日 Business Park, Katella Ave. Cypress, CA |
正確には、街路樹ではないけれど、一列に並んで植えてある駐車スペースのロンドン プレーン ツリー
同上 |
剪定の季節でしょうか、一部、さっぱりと刈り込まれていました。
葉は、確かにロンドン プレーン ツリーです。
同上 |
同上 |
下の写真は、ロンドン プレーン ツリー だらけのところに交じっていた、カリフォルニア シカモア。
実も葉も、カリフォルニア シカモアの特徴を備えていました。それに、幹が二股に別れているし、周りの木より大きかったです。カリフォルニア シカモアは、ロンドン プレーン ツリー より成長が早いのです。
同上 |
この広いビジネスパークに、少なくとも四本カリフォルニア シカモアがありました。
そのほか、近くの市役所の駐車場にも、ロンドン プレーン ツリー だらけのところにカリフォルニア シカモアが一本交じってました。やはり、わざわざカリフォルニア シカモアを選んで植えたというような植え方ではなかったです。
私の少ない知識からの想像は、大量の若い木を植えるときに、間違って少しカリフォルニア シカモアが交じって来たということ。実も葉もついていない時期だったら分からないでしょう。病気で枯れたりしない限り、誰も気にしないのでしょうね。
でも、街路樹ではこんなことはないのだから、ビジネスパークの苗木は何か違うのかな。
もう一つ、訳が分からないほど交じっていたところは、El Dorado Park の ネイチャー センター。
ここは、以前に記事で紹介したように、自然の水路があり、水辺に植物が茂っているところです。背の高いシカモアが林立し美しいです。
2014年4月29日 El Dorado Park, Nature Center, Long Beach, CA |
同上 |
葉を見ると、カリフォルニア シカモア と ロンドン プレーン ツリー と両方あると思います。それに、何だか別のもあるように見えます。
こんな想像はどうでしょう:
公園の外の街路樹の ロンドン プレーン ツリーの種が風に飛ばされて来て育ち、もとからそこに生えていたカリフォルニア シカモアとの間で色々な雑種ができ、特徴が多様な木が生えている。
完全な素人の想像です。街路樹ウォッチャーには、自然に放置状態の植物はまだ理解の外です。
以上、ゴチャゴチャと書き連ねましたが、シカモアの美しさは独特で際立っています。加えて、カリフォルニア自生種には、うまく言葉で表せませんが、失ったものを惜しむような悲しさも感じます。
今は、まだ五月。これから夏、秋、冬と変わってゆくのを、気長に楽しんで行こうと思います。季節が一巡りしたら分かってくることがあると思います。
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