前回は私の主観が大いに入った記事でしたので、今回はもう少し客観的な内容で。
カナリーヤシとナツメヤシは、両種とも乾燥した地域の原産ながら、氷点下の気温にも耐え、湿度の高い熱帯でも生育し、幅広い気候に適応するそうです。それに加えてその堂々とした姿から、世界各地で造園用のヤシとして人気が高いのだそう。また、成長してから掘り出して植え替えても枯れたりせず、移植が容易なのも多く植えられている理由の一つとのこと。
両種とも成長が速く非常に背が高くなるとのこと。ワシントンヤシの仲間、特に W. robusta 程ではないながら、ヤシ科の中では速く大きく育つ種類に入るということでしょう。寿命は、どちらも50年から150年。ロサンゼルス市には100年を越えるカナリーヤシがあるらしく、25メートルほどに育ち、そして枯れてゆくのだそうです。
L.A.市のカナリーヤシ。かなり古そう。これは、“お金のにおい” はしないです。昔は別の理由で植えられたのかも。
May 2011, Google Street View S. Palm Grove Ave., Los Angeles, CA |
葉は羽状。両種とも一本の葉の長さが4~ 6 mもあり、大きく下向きにアーチを描いて全体として丸い樹冠を形作ります。
こちらは、ナツメヤシ。
剪定したばかりらしく、下向きの葉がありませんが。
2014年2月17日 Lincoln Ave, Cypress, CA |
どちらも、雌雄異株で、つまり、雄花だけが付くオスの木と、雌花だけがつくメスの木があるのだそうです。
両種とも、果実は食べられるそうですが、実際に人の食料になるのは、ナツメヤシの実であるデーツだけ。カナリーヤシの実は “食べられないことはない” 程度だそうですが、試してみたいものです。
左後ろがナツメヤシ、右がカナリーヤシ。どちらも花が咲いてます。オス、メス不明。
January 2011 Google Street View, South St., Cerritos, CA |
カナリーヤシ
massive とか stately という形容詞が必ずつくヤシ。巨大とか堂々として立派という意味。unsurpassed beauty だの magnificent と美しさを称えられることも。確かに、建物や場所を立派に見せる効果が充分にあります。葉を剪定するときに、葉柄の付け根を残して、写真のようにパイナップルの形に作るのが今のファッションらしいです。
2014年3月23日 Orange Ave., Cypress, CA |
一緒にならんでいるのは、メキシカン ファン パーム (W. robusta)。ともに、葉っぱが剪定されすぎ。
同上 |
パイナップルを、下から見上げたところ。
見た目の立派さにたがわず、非常に高価なヤシで、成長した個体では数千ドルもするらしい。実際、個人の庭先などに生えているこのヤシを買い取る業者がいるそうで、タダでもいいから持って行って欲しいと思っている持ち主から買い取って高く売るのだそうです。ただ、背が高すぎるのは売れないとのこと。
南カリフォルニアでは毎年、この立派なカナリーヤシが、たくさん病気で枯れているそうです。Fusarium wilt というカビが原因で、これに感染すると、まず間違いなく枯死するとのこと。カビは、剪定に使う道具を介してヤシからヤシへとうつるので、道具を清潔に管理しておくことが予防法だそうです。
また、悪いことに、死んだヤシが生えていた土には長くカビが残り、このヤシを植え替えることが出来ません。ワシントンヤシ属は植えても大丈夫らしいです。死んだカナリーヤシの、文字通り、穴埋めに使われるのかしら。
学名、Phoenix canariensis の名のとおり、北アフリカの西沖合にあるカナリー諸島が原産地。
余談ですが、カナリー諸島は南カリフォルニアと気候が似ているのか、カナリーマツという、やはり同諸島原産の背の高い松の木が、街路樹として普通にあることを発見しました。そのうち記事にすると思いますが、マツの見分けは、まだ自信が無いです。
ナツメヤシ
一本の木としては、カナリーヤシに見劣りしますが、沢山植えてあると、やはり、圧倒されるような王様感があります。
カナリーヤシが高価すぎるのか、あるいは、病気を恐れてか、このナツメヤシのほうが、植えてある本数は断然多いと思います。
果実をとるために内陸部で大量に栽培されているので、供給が充分あるのでしょう。
重そうにたわわに実がなっています。このあと間もなく、ばっさり剪定されてました。
果実をとるために内陸部で大量に栽培されているので、供給が充分あるのでしょう。
重そうにたわわに実がなっています。このあと間もなく、ばっさり剪定されてました。
2014年2月3日 Cerritos Town Center, Cerritos, CA |
同上 |
剪定しすぎのナツメヤシ
ナツメヤシは、全てのヤシの中で、ココヤシに次いで、最も経済的価値のあるヤシなのだそう。
確かに、地元産デーツにも、Medjool と Deglet noor というのがあって、大きさ、果肉の歯ざわりなどはっきりと違う。とにかく、いずれもその甘さに驚く。こんな物が木に実るとは、まさしく天の恵み。でも、ここは街路樹の話なので、食べることは別の機会に。
果実をとるために栽培するには、高温で乾燥した気候が必要で、カリフォルニア内陸部の Coachella Valley(コチェラ バレー)というところが、デーツの一大生産地になっています。
ところで、日本語のナツメヤシの “ナツメ” は、別の植物 ナツメ(Ziziphus jujuba)と、その果実の名に由来する。クロウメモドキ科の落葉高木とのこと。干したナツメの外見がデーツに似ていることから、そう呼ばれるようになった。
以上、ヤシのことになると、書きすぎですね。
以下のサイトを参考にしました。
Dave's Garden
Phoenix Palms - Trees of Unsurpassed Beauty
By Geoff Stein (palmbob) June 23, 2013
http://davesgarden.com/guides/articles/view/529/#b
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