ワシントンヤシに続き、大型のヤシです。
まず、写真をみてください。
Phoenix属 (ナツメヤシ属)の二種類、カナリーヤシとナツメヤシです。両方の種類が混じっています。
May 2011, Google Street View - West St. Anaheim, CA |
場所は、フリーウエイを下りてディズニーランドへと入る道。道路に沿ってこの種類のヤシがぎっしりと植えてあり、世界中からのお客さんを歓迎しているようです。
(道路に立って写真を撮るわけにいかないので、Googleストリートビューからスクリーンショットです。ありがとうストリートビュー、私の写真よりずっといいわ。)
この種類のヤシが植えてあると、まるで、宮殿へ続く道のように見えます。そして、その道を通ることで、知らないうちにある気分が吹き込まれるようになっているのです。
メッセージは、
“あなたは、ここにふさわしい人です。さあ、贅沢に楽しみましょう!” (翻訳: しっかりお金使ってね)
とはいえ、順序としてまず、名称を整理します。
1. 名称
学名: Phoenix canariensis(フェニックス カナリエンシス)
カナリー諸島産フェニックス属の植物の意
日本語名 カナリーヤシ
英語名 Canary Island Date Palm
学名: Phoenix dactylifera(フェニックス ダクティリフェラ)
デーツ(ナツメ)が実るフェニックス属の植物の意
日本語名 ナツメヤシ
英語名 Date Palm
今回は、ワシントンヤシと違って日本語名が分かりやすいので、“カナリーヤシ”、“ナツメヤシ” を使うことにします。
外見に “高級感がある” ということのほかにも共通の特徴はたくさんありますが、まず街路樹としての見分け方から。
2. 葉と幹で見分けがつく
一見とてもよく似ていますが、葉と幹で見分けがつきます。
(ただし、ワシントンヤシと同じく、両方の交配種というのがあるらしいです。それは今のところ、ここでは考えないことにさせて下さい。)
さらに葉の数では、カナリーヤシの方が多くいっそう樹冠が密に繁って見えます。ナツメヤシは葉がまばらで隙間が多く見えます。
もちろん、健康状態や樹齢によって個体差はあるようですが、割とはっきり分かります。
まず、カナリーヤシ。
1) 葉
どちらも長い羽状の葉ですが、カナリーヤシのほうが平らな感じで、より鳥の羽根のような形です。ナツメヤシでは葉の縦軸にそってたたまれたようにV字の角度がついていて、細長く見えます。さらに葉の数では、カナリーヤシの方が多くいっそう樹冠が密に繁って見えます。ナツメヤシは葉がまばらで隙間が多く見えます。
もちろん、健康状態や樹齢によって個体差はあるようですが、割とはっきり分かります。
まず、カナリーヤシ。
2014年3月11日 Cypress Plaza East Shopping Center, Cypress, CA |
こちらは、ナツメヤシ。
2014年2月3日 Cerritos Town Center, Cerritos, CA |
写真では、両種の差が特に強調されています。
カナリーヤシの方が若く、葉のつき方が特に密です。ナツメヤシの方は剪定したばかりらしく、下向きに下がっている葉がありません。
2) 幹
葉が落ちた痕が、ひし形、あるいは、うろこ模様になって残っています。カナリーヤシの幹。
2014年2月17日 Lincoln Ave. Cypress, CA |
ナツメヤシの幹。こちらの方が、模様が立体的で、でこぼこしています。
2014年2月3日 Cerritos Town Center, Cerritos, CA |
この記事冒頭のディズニーランドへ続く道の写真では、左列がカナリーヤシ。中央分離帯がナツメヤシと思われます。ナツメヤシでは幹の凹凸も良く見えています。
その右はナツメヤシ、さらにその右にチラッと見えるのはカナリーヤシ、ということにしましょう。行って車を降りて近づくのは難しそうなので。
3. お金を使う気にさせる木
近場で観察した範囲でいうと、この二種のヤシは、ある程度以上の大型商業施設にまとまった本数で植えられています。
本当に、“お金を使う気にさせる” 雰囲気作りに大きくかかわっていると思います。
その点は、ワシントンヤシの仲間、特に W. robusta (メキシカン ファン パーム)と大きく違うところです。ロブスタさんが並んでいるのを見ると開放感のようなものがありますが、それは心が伸び伸びするような感じであって、決して物欲の開放感ではないです。
私の住む近くでは、やはり、ディズニーランド周辺が徹底しています。下の写真はディズニーランドの真横のカテラ通りです。Googleマップで見ると、約1.5 km にわたって写真のようにナツメヤシがギッシリと植えてあります。すさまじいとさえ感じます。
アナハイム市が管理しているのでしょう。ディズニーランドのためにはお金を使うのね。
(ロブスタさんの並木も近くの道路にあります。カリフォルニアらしさの演出のため?)
April 2011 Google Street View, Kattela Ave, Anaheim, CA |
次の写真は、大型ショッピングセンターの隅っこに植えてあるカナリーヤシです。
写真を撮ったときには、なぜこんな人も通らないようなところにこの高級ヤシを植えたのか不思議だったのですが、最近答えに気が付きました。分かりますか?
2014年2月21日 Cerritos Town Center, Cerritos, CA |
理由は、生垣の向こうがフリーウェイの出口になっているからです。つまり、このショッピングセンターに向かってフリーウェイを降りたお客さんに、カナリーヤシの洗礼で心を正しく整えてもらうのです。
April 2012 Google Street View, 91 Freeway, Cerritos Town Center Exit |
その他に、個人の庭に植えてあるのをたまに見かけます。この巨大なヤシを、大邸宅ならともかく普通サイズの家では、いかにも持て余しているように見えます。特に、どちらの種類も葉柄の付け根近くに長くて鋭い針のような棘が並んでいて、背の低いヤシでは近づくのさえ危険です。
良く考えないで種や苗を植えて、気がついたら、除去することも大変だし、そのまま持っておくのも大変になってしまったのじゃないかと他人事ながら心配になります。ただ、アメリカでは、家の売り買いが頻繁なので、買った家にヤシの木が付いていた、という場合もありそう。
続く。
でも、他の街路樹のことを先に書くつもりです。
ヤシにかまけているうちに、若葉の季節が過ぎてしまいそうです。
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上手い表現でカナリーヤシとナツメヤシを紹介されていて敬服してしまいました^^
返信削除ヤシの木に目覚めたばかりの方とは思えない知識です^^
一般にナツメヤシはアラブやアフリカのサハラ砂漠で水を求めて出あったオアシスにあるのがナツメヤシです^^聖書に出てくるのもそうですね。
スペインで拾って来た種が発芽して家にあります^^
カナリーヤシはカナリー諸島原産ですが、場所を見るとほとんどアフリカですよね^^あれスペインが無理やりとった?ってような感じもしますが、南フランスのニースで拾って来たカナリーヤシの種が発芽して大きくなっています、だいたい色々な所で種を拾うのが好きなんです^^
あそこの木の子孫だぁ~って感じです。ニースにはフィリフェラからロブスター、ナツメヤシ、女王ヤシ、カナリーヤシ、ブラヘアアルマータ、ブラヘアスーパーなどたくさんのヤシの木が植えてあります。
サンタバーバラからLAに戻る時にフリーウェイ沿いにワシントンヤシを作っているところがあってたくさん見せてくれました、そんなに好きなら1本持って行け^^とオーナーに言われて掘ってくれたんです^^東京に持ち帰るのに空港で絶対没収されるので、ショッピングバックに土の部分の鉢を入れて、葉っぱと幹の部分を新聞紙でぐるぐる巻きにして税関行きました、それはなんですか?と言われて、ホテルでもらったパラソルです、と言うと簡単に通してくれて^^
掘ってくれたオーナーがワシントンヤシと比べたら物凄く高価なヤシを見せてくれると言うので、期待して見たら、フェニックスロベレーニでした、カリフォルニアでは$200するそうですが、日本では八丈島で世界一の生産量を誇る椰子の木なので安いんです^^喫茶店や家のリビングに置いてある小さめな椰子です。