イントロとしての前回のエントリーも見てね。
ファイカスの街路樹として一番よく見かけるのは、インデアン ローレル フィグ。日本語名はガジュマル。
白い幹と緑の葉が明るく陽に映え、葉が密に繁っているのに重々しい感じがしません。
2014年2月3日 Woodruff Ave. Lakewood, CA |
上の写真を撮った ウッドラフ通りは、このファイカスの街路樹が長々と続く道路です。両脇に側道があって広々としているのに交通量はそれほど無く、走ると気持ちがいい道です。
同じウッドラフ通り。右が側道。この側道は、ファイカスのおかげで日陰が多く、車をとめるのに良さそう。
とにかく陽射しが強烈なので、冬でも日陰があったらうれしいのです。
2014年2月3日 Woodruff Ave. Lakewood, CA |
グーグル車から撮った、同じくウッドラフ通りです。ずっと向こうまでファイカスの街路樹が続いています。
ほんと、街路樹の写真は車の目線で写すのが一番ですね。
![]() |
Google Street View 2015年8月 Woodruff Ave. Lakewood, CA |
名前のことなど
クワ科(Moraceae)、イチジク属(Ficus)
学名: Ficus microcarpa(フィクス ミクロカルパ)
ミクロカルパは、小さい果実の意
英語名: Indian Laurel Fig(インディアン ローレル フィグ), Laurel Fig, Laurel Rubber, Chinese Banyan
ミクロカルパは、小さい果実の意
英語名: Indian Laurel Fig(インディアン ローレル フィグ), Laurel Fig, Laurel Rubber, Chinese Banyan
日本語名: ガジュマル
原産:マレー半島、ボルネオ
ウィキペディアによると日本語名のガジュマルは沖縄の地方名とのこと。また、沖縄の伝承としてガジュマルの大木にはキジムナーという妖精住んでいるのだそうです。
確かにガジュマルという言葉には、熱帯の水分をたっぷり含んだ空気と、妖精が住むような魔術的なイメージあります。
原産:マレー半島、ボルネオ
ウィキペディアによると日本語名のガジュマルは沖縄の地方名とのこと。また、沖縄の伝承としてガジュマルの大木にはキジムナーという妖精住んでいるのだそうです。
確かにガジュマルという言葉には、熱帯の水分をたっぷり含んだ空気と、妖精が住むような魔術的なイメージあります。
でも、乾燥した南カリフォルニアで車の排気にさらされながら道路ぎわに並んでいる巨木たちには、妖精なんて近寄りもしないでしょう。
なので、ここでは日本語名では呼ばずに、長い名ですがインデアン ローレル フィグにします。人工的な感じの名前がかえって相応しいかも。(他の種類との混乱が無いときにはファイカスと呼ぶかもです)。
ちなみに、“ガジュマル” で画像検索をすると、気根を無数に垂らした魔術的な大木の写真が見られます。ところが “Indian Laurel Fig” だと、街路樹の写真が多くでてきます。面白いですね。
果実、葉、幹
名前のとおり、小さなイチジクの形をした果実がつきます。鳥や小動物の餌になるそうです。
木の下には、いつ行っても実が無数に落ちていました。
2014年2月4日 South Ave. Lakewood, CA |
葉っぱも、小ぶりです。
(大きさの比較が分かるようなものを置いて写真を撮るべきですよね)
2014年2月3日 Woodruff Ave. Lakewood, CA |
家に持って帰って写した写真
2014年2月3日 |
別のところのインディアン ローレル フィグ。
葉っぱの形がちょっと違う。
2014年2月4日 |
どうも、カリフォルニアの街路樹になっているインデアン ローレル フィグには、二つの亜種があるようです。葉の形が多少違っていたり、少し枝垂れたのや、枝垂れていないのがあるのはどうもそのせいだと思います。
ただ、街路樹としての外観は同じにみえるので、ここでは違いは追及しないことにします。
幹。
原産地では、枝から無数に気根が垂れ下がり、本来の幹や枝がどうなっているのか分からない程になっていますが、カリフォルニアのファイカスでは気根を見ないのは、気候が違うからなのか、それとも剪定をしょっちゅうするからなのか、どちらでしょう。
2014年2月4日 South St. Lakewood, CA |
足元は何だか狭苦しそう。
根が道を持ち上げたり下水管を壊したりしない様に相当お金がかかっているらしいです。
2014年2月4日 South Ave. Lakewood, CA |
トラブルも、木の大きさと同じくらい大きい ーーふたつの新聞記事から
ロサンゼルスの新聞、Los Angeles Times の古い記事がネット上で見つかりました。20年ほど昔の記事ですが、現在も同じことが進行中と思いますので、適当に紹介します。
Ficus' Shady Reputation Prompts Change in Scenery
March 13, 1996 Larry Gordon, Times Staff Writer
タイトルは、“ファイカスの悪評が景観の変更を迫まる”。もうちょっと詩的に訳せたらいいのですが。
ここで言うファイカスは、インディアン ローレル フィグ のことで、記事ではこのファイカスのことを、very very hardy、あるいは miracle tree と表現しています。つまり奇跡的にものすごく丈夫ということです。
汚れた空気の中でも、あるいは、まともに世話されなくても、さらには高層ビルの陰で陽に当たらなくても、過酷な都会で元気にそして美しく育つのだそうです。
このファイカスは、1950年代末から1960年代初めにカリフォルニアで集中的に大量に植えられたのだそうです(具体的な数は書いてありませんが)。
そして、成長が非常に速い木なので、たちまち常緑の樹冠が通りを美しく飾り、カリフォルニアのエレガンスや豊かさのイメージの中に溶け込んで行ったのでした。
けれども、何ごとも良いことばかりでないのが世の常で、木が育つと共に、歩道を持ち上げたり、下水管を壊したり、道路標識や看板を隠すという問題が起こってきました。また、剪定にもかなりの費用がかかるのだそうです。
そんなこと、植える前から分かりそうなもんですが、たぶんトラブルの大きさが予想外だったということなのでしょう、想像ですが。
この記事の書かれた1996年の時点で、すでにカリフォルニアの多くの市がファイカスを大量に除去しており、また、新しく植えられることも少なくなっているのだそうです。
また、道路沿いに小売店やレストランが並ぶようなRetail District と言われる地区には、ファイカスの街路樹があることは珍しくないのですが、こういうところではファイカスを除去するか、高い経費をかけて維持するか議論が持ち上がるのが常なのだそうです。
個性ある店舗群と共に、ファイカスの存在がその地区のイメージを作り上げており、お客さんを引き付ける重要な要素になっているのです。
維持するためには、地下に張った根を切ったり、根が広がらないようにする障壁を埋めたり、歩道を補修したりしなくてはなりませんが、こういう対策が実際に効果があるのか、あるいは木を弱らせないか、確かなことは分からないのだそうです。
その話題に関して、ここに、2013年3月の日付の記事があります。
地元紙、オレンジ カウンティ― レジスター(Orange County Register)です。
Ficus trees spark debate in Seal Beach
March 23, 2013
タイトルは、“シール ビーチでファイカスを巡る議論の火花が散る”。
Seal Beach市は、オレンジ郡の北部にある海沿いの小さな町です。我が家から最も近い海がここなので、海沿いの散歩にでも行こうかというときはここに出かけてゆきます。
そして、海岸に突き当たる小さな通りが メイン ストリート(Main Street)といって、古くからあるレストランやアンティークの店などなどが並んでいます。ここが記事に取り上げられているファイカスの論争の火花が散っているところです。
記事によると市議会は、メインストリートにファイカスを25本、ファイカスじゃない古い木に替えて植えることを決議したというものです。均一な街路樹で通りを美化し、集客力のある地区を更に魅力的にしようというものです。けれども、市長は猛反対で、まだ変更の可能性があると一歩も引かない構えなのだそうです。
それからどうなったのかは知りませんが、久しぶりに海の散歩に行きがてら、メインストリートの街路樹ウォッチングをしてきました。
まず、Google の写真から。小さなお店やレストランが並びます。ファストフード店なんてないですよ。レストランは、よくお客さんが入っています。
手前のファイカスが目立ちますが、奥の方は違う木です。市長さんの主張が通ったのかしら。
メインストリートは、中央通りなんて意味ですが、名前に似合わず小さい道です。街の始まりの昔にこの辺が中心だったのかな。
ファイカスだけが入るように写しました。同じ木が続く魅力的な通りに見えるでしょうか。
ピンボケですみません、もうすぐ日が暮れる夕方です。ファイカスはかなり細目に形造られている。
通りの向こう側に、ファイカスじゃないのが並んでる。
最後に、木が写ってない写真を。
メインストリートにつながって、海に伸びるピアです。メインストリートより歩いている人が多い。
以上、インディアン ローレル フィグでした。
March 13, 1996 Larry Gordon, Times Staff Writer
タイトルは、“ファイカスの悪評が景観の変更を迫まる”。もうちょっと詩的に訳せたらいいのですが。
ここで言うファイカスは、インディアン ローレル フィグ のことで、記事ではこのファイカスのことを、very very hardy、あるいは miracle tree と表現しています。つまり奇跡的にものすごく丈夫ということです。
汚れた空気の中でも、あるいは、まともに世話されなくても、さらには高層ビルの陰で陽に当たらなくても、過酷な都会で元気にそして美しく育つのだそうです。
このファイカスは、1950年代末から1960年代初めにカリフォルニアで集中的に大量に植えられたのだそうです(具体的な数は書いてありませんが)。
そして、成長が非常に速い木なので、たちまち常緑の樹冠が通りを美しく飾り、カリフォルニアのエレガンスや豊かさのイメージの中に溶け込んで行ったのでした。
けれども、何ごとも良いことばかりでないのが世の常で、木が育つと共に、歩道を持ち上げたり、下水管を壊したり、道路標識や看板を隠すという問題が起こってきました。また、剪定にもかなりの費用がかかるのだそうです。
そんなこと、植える前から分かりそうなもんですが、たぶんトラブルの大きさが予想外だったということなのでしょう、想像ですが。
この記事の書かれた1996年の時点で、すでにカリフォルニアの多くの市がファイカスを大量に除去しており、また、新しく植えられることも少なくなっているのだそうです。
また、道路沿いに小売店やレストランが並ぶようなRetail District と言われる地区には、ファイカスの街路樹があることは珍しくないのですが、こういうところではファイカスを除去するか、高い経費をかけて維持するか議論が持ち上がるのが常なのだそうです。
個性ある店舗群と共に、ファイカスの存在がその地区のイメージを作り上げており、お客さんを引き付ける重要な要素になっているのです。
維持するためには、地下に張った根を切ったり、根が広がらないようにする障壁を埋めたり、歩道を補修したりしなくてはなりませんが、こういう対策が実際に効果があるのか、あるいは木を弱らせないか、確かなことは分からないのだそうです。
その話題に関して、ここに、2013年3月の日付の記事があります。
地元紙、オレンジ カウンティ― レジスター(Orange County Register)です。
Ficus trees spark debate in Seal Beach
March 23, 2013
タイトルは、“シール ビーチでファイカスを巡る議論の火花が散る”。
Seal Beach市は、オレンジ郡の北部にある海沿いの小さな町です。我が家から最も近い海がここなので、海沿いの散歩にでも行こうかというときはここに出かけてゆきます。
そして、海岸に突き当たる小さな通りが メイン ストリート(Main Street)といって、古くからあるレストランやアンティークの店などなどが並んでいます。ここが記事に取り上げられているファイカスの論争の火花が散っているところです。
記事によると市議会は、メインストリートにファイカスを25本、ファイカスじゃない古い木に替えて植えることを決議したというものです。均一な街路樹で通りを美化し、集客力のある地区を更に魅力的にしようというものです。けれども、市長は猛反対で、まだ変更の可能性があると一歩も引かない構えなのだそうです。
それからどうなったのかは知りませんが、久しぶりに海の散歩に行きがてら、メインストリートの街路樹ウォッチングをしてきました。
メインストリートで街路樹ウォッチング
まず、Google の写真から。小さなお店やレストランが並びます。ファストフード店なんてないですよ。レストランは、よくお客さんが入っています。
![]() |
2015年2月 Google Street View Main St. SealCA Beach, |
メインストリートは、中央通りなんて意味ですが、名前に似合わず小さい道です。街の始まりの昔にこの辺が中心だったのかな。
ファイカスだけが入るように写しました。同じ木が続く魅力的な通りに見えるでしょうか。
2015年8月7日 Main St. Seal Beach, CA |
ピンボケですみません、もうすぐ日が暮れる夕方です。ファイカスはかなり細目に形造られている。
2015年8月7日 Main St. Seal Beach, CA |
通りの向こう側に、ファイカスじゃないのが並んでる。
2015年8月7日 Main St. Seal Beach, CA |
最後に、木が写ってない写真を。
メインストリートにつながって、海に伸びるピアです。メインストリートより歩いている人が多い。
2015年8月7日 Seal Beach Pier, Seal Beach, CA |
以上、インディアン ローレル フィグでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿